職人紹介
山口 政子
節句人形工芸士
福岡県に生まれ、母や祖母とともに裁縫に親しんだ経験からものづくりへの感性が育まれる。手がける人形には、形そのものを超えた"仕上がりの姿"への心配りが光る。襟元から胸元、手の位置・角度など、すべてが自然に調和してこそ気品ある姿が浮かび上がる。生地選びや刺繍加工では伝統を重んじながらもモダンな要素を取り入れ、時代の変化の吸収を欠かさない。自らが幼い頃ものづくりに感じていたように、ひな人形が家族を温かくつなぐようにと願いを込めて制作に励んでいる。
[2020年 節句人形工芸士認定]

結婚を機に八女へ移り住み、「ものづくりの仕事がしたい」という長年の夢を叶えるため、
八女四季彩館で人形作家のキャリアをスタートした山口。
周りの人たちの支えで、ここまで続けることができたと笑顔で語る山口に、
ひな人形作りの魅力や八女への思いを聞いた。
ゆっくりと流れる時の中で
「物作りが好きなのは、子供の頃からですね。家で母が洋裁をしたり、祖母が手毬を作ったりしていたので、自然と興味を持つようになりました。いつか物を作る仕事をしたいなと思っていたところ、結婚を機に移り住んだ八女で、ひな人形作りの仕事と出会うことができました。
八女はとてもゆっくりと時間が流れ、自然も豊か。人のぬくもりが溢れる陽だまりのような町なので、毎日穏やかな気持ちで人形作りに取り組めている気がしています」





人形づくりの魅力
「どの角度から見ても生地のほつれや汚れがないか、ぐらつきがないかなど、細かい作り込みの部分にも細心の注意を払うようにしています。また、毎年、新しい生地に様々な色合いの重ねを合わせて新しい人形が誕生します。屏風や飾り物と組み合わせた『総合的な美しさ』に魅力を感じています」





愛情を込める
「人形作家を子育てをしながら長期間続けることができました。それは職場の人たちや家族に支えられたからこそだと思っています。自分自身が受けた愛情を注いでいきたいと思っています」