徳川家と江戸時代の人形について
今日に伝わる風雅で美しい人形は、江戸時代にその礎を築いたと言われています。
八女四季彩館では徳川家ゆかりの雛人形をはじめ、江戸時代を中心に作られた造形、技術的に高い評価を得た数々の人形や道具を所蔵しています。
その数は総数1600点あまり。
徳川家十一代将軍・家斉候ゆかりの雛人形や、美しい光沢と風合いを持つ正絹の金襴織物を纏った江戸時代中期の作品群など、国宝級の名作を多数展示しています。
これらの職人たちが築き上げた伝統美の結晶は、ご来館いただく方々に深い感動と
ご満悦をいただけることと思います。
神功皇后、竹内宿祢、旗持
[ジングウコウゴウ、タケシウチノスクネ、ハタモチ]
おおらかで、豪快、勇者の心意気が伝わってきそうな神功皇后、武内宿祢、旗持、三躯の五月人形。
その佇まいは、当時の武将の姿を実に見事に表現しています。工芸的に見ても大変価値が高く、光明寺所蔵の折には、京都国立博物館でも展示されていました。
高砂
[タカサゴ]
御所人形系の頭が特徴の衣装人形「高砂」は、能の尉と姥を表しています。当時の作り手の心づかいが脈々と伝わる本格的な装束をはじめ、白髪のかつらをかぶっているように見える姿は大変珍しく、人形史上においても価値の高いものです。鶴亀と同じく、光明寺所蔵の折には、京都博物館で展示されていました。
鶴亀
[ツルカメ]
初番目のものの能「鶴亀」を題材に作られた衣装人形「鶴亀」は、長生殿での初春の節会で、皇帝に長寿を授ける鶴と亀を写しています。御所人形系の頭をもち、高貴な方の雰囲気を見事に表している人形といえるでしょう。
以前、京都の東本願寺系のお寺、光明寺が所蔵していた折には、京都国立博物館において展示されました。
享保雛
[キョウホビナ]
能面のような表情と豪華な衣装と天冠が特徴の「享保雛」は、江戸時代、徳川八代将軍・吉宗の治世である享保年間に生まれました。当時の景気のよい時代色を反映するような大ぶりな造りと豪華な衣装や道具が特徴です。やがて景気の悪化とともに贅沢が禁じられ、小さな寸法のものも生まれるようになりましたが、享保雛の製作は京都から各地に広まり、その後の時代も続くこととなりました。
尾張徳川家義親の娘 百合子姫の雛
[オワリトクガワケヨシチカノムスメ ユリコヒメノヒナ]
尾張徳川家十九代 徳川義親の三女、百合子姫が旧秋田藩主 佐竹義栄にお輿入れの際持参した雛段飾りは、金の蒔絵が素晴らしく、特徴ある尾張徳川家の葵の紋が美しく入っております。