職人紹介
矢野 勝久(雅峰)
節句人形工芸士
工芸のまち八女市出身・在住。英雄の逞しさを感じさせる華やかで力強い作風に定評がある。初代からの伝統を継承しつつ、鎧兜のフォルムの美しさ・現代の居住空間を考慮したサイズ感といった新しい要素を柔軟に取り入れ、二十余年にわたる鍛錬で磨かれた技術をさらに進化させている。弛まぬ向上心でものづくりを深く愛し、緻密な手仕事一つ一つに精魂を込めて唯一無二の傑作を生み出す、地元の誇れる甲冑師である。
[2016年 節句人形工芸士認定]

生まれ育った八女の地で、20年以上に渡り、甲冑を作り続けている矢野。
「作り続ける限り、技術は衰えない」という信念のもと、
より良いものづくりへの向上心を絶やさず、日々の制作に余念がない。
普段制作を行なっている工房で、甲冑の魅力やものづくりへの熱い思いを聞いた。
八女で生まれた
八女の職人
「昔からものづくりが好きで、漠然とものをつくる仕事がしたいなーと思っていたんですね。自分は八女で生まれて、今も八女在住でして、地元でものづくりをしているところが、ここ八女四季彩館でした。五月人形の甲冑とかを作る部署に配属されて、そこで一から覚えていきました。もう作るのが楽しくて、気付いたらあっという間に20年以上経っていました(笑)。やっぱり男は武器とか兜とか好きじゃないですか。だから、とにかく毎日が楽しいんです」





磨かれたかたち
「僕が作っている甲冑は、実はとても洗練されてると思っているんですよ。なぜかというと、ひとつのことに特化するためにいろんな技術を駆使して作られているからです。もともとあったものが、何千年という時間の中で、色々な技術がどんどん加わっていって、バラエティ豊かに、美しくなってきていると思います。甲冑とか武具であるのと同時に、装飾品でもあるので、美しさは重要です。彫金や鍍金など、本当に細かい様々な技術が統合されて完成されます。こだわりが幾重にも重なることで、飾っていても綺麗なものが生まれるのだと考えてます」





ただ、ひたすらに...
「『雅峰』という名前を受け継いでいますが、先代から1から10まで、兜づくりの様々なことを教えていただきました。質を落とさないように、教えてもらったことは守り、さらにより良いものに改善していけるように努力していきたいと思っています。時には、博物館に行って本物の鎧兜を研究したり、やれることはたくさんあるので。ただ、ひたすらにものを作り続ける職人でありたいです」